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その痛みに気づいてあげて!〜ワンちゃんの変形性関節症について

三浦市横須賀市の皆さんこんにちわ。

意外と見過ごされていて、かつ頻度の多い疾患、変形性関節症。中高齢特に太り気味の子はまずほとんどの子が罹患しています。今日はこの疾患についてお知らせしたいと思います。

「歳のせい」で片付けないで。愛犬の変形性関節症と、おうちでできる正しいケア

こんな様子、見たことありませんか?

  • 散歩に誘っても、以前ほど喜んで飛び出してこない
  • 立ち上がるときに一瞬ためらう、よろける
  • 段差やソファの上り下りを嫌がるようになった
  • 座るときにお尻を片側に流す「女の子座り」をする

こうした変化を見て、「もう歳だから仕方ないね」と静かに受け止めている飼い主様は少なくありません。しかし、その動きの変化の背景には、変形性関節症(OA:Osteoarthritis)が隠れていることがとても多いのです。高齢犬の多くがこの病気を抱えているとする報告もあり、決して珍しい病気ではありません。

今回は、この変形性関節症について、そして意外と知られていない「おうちでの正しい向き合い方」についてお話しします。

変形性関節症とは、どんな病気?

関節の中では、骨と骨の間にある軟骨がクッションの役目を果たし、動きをなめらかにしています。この軟骨が年齢や体重、遺伝的な要因などによって少しずつすり減っていくと、関節の中で炎症が起こりやすくなり、痛みが生じます。進行すると骨の形そのものが変化したり、骨のトゲ(骨棘)ができたりして、動かしづらさや慢性的な痛みにつながっていきます。

進行のスピードは犬によってさまざまで、数年かけてゆっくり進むこともあれば、比較的短期間で症状がはっきりしてくることもあります。一度すり減ってしまった軟骨は元通りにはならないため、「完治」を目指す病気ではなく、痛みをコントロールしながら、進行をできるだけ緩やかにしていくというのが基本的な考え方になります。

なぜ見逃されやすいのか

変形性関節症の厄介なところは、症状がゆっくり進むため、飼い主様にとっては「加齢による自然な変化」に見えてしまう点です。実際、子犬の頃からの歩き方の癖と混同してしまい、異常に気づきにくいケースもあります。

だからこそ、「歩き方が少し変わったな」「以前より動きたがらないな」と感じた時点で、一度動物病院にご相談いただくことが早期発見の第一歩になります。

誤解されがちな「安静」という言葉

ここで、今日いちばんお伝えしたいことをお話しします。

変形性関節症の犬に対して、「安静にして関節を休ませてあげてください」とお伝えすると、多くの飼い主様は「とにかく動かさないようにしよう」と受け取られます。実際、痛みが強く出ている急性期には、無理な運動やジャンプ、階段の上り下りを避け、関節への負担を減らすことがとても大切です。

ただし、ここで気をつけていただきたいのは、「安静」は「まったく動かさないこと」とイコールではないという点です。過度に運動を制限してしまうと、今度は関節周りの筋肉が落ちてしまい、関節を支える力そのものが弱くなってしまいます。筋力が落ちれば関節への負担はかえって増え、痛みが悪化するという逆効果につながることもあります。

つまり本当に目指すべきなのは、

  • 痛みが強い時期や、症状が悪化しているときは、無理をさせずしっかり休ませる
  • 痛みが落ち着いている時期は、関節に負担をかけない範囲で、短時間・平坦な道でのお散歩など「質を変えた適度な運動」を続ける

という、メリハリのあるケアです。「休ませる」と「動かす」、どちらか一方ではなく、その子の状態に合わせてバランスを取ることが、家庭での関節ケアの本質だと考えています。

おうちでできる具体的なケア

1. 生活環境を見直す

  • フローリングに滑り止めマットやカーペットを敷き、踏ん張りが利く床にする
  • ソファやベッドの昇降には、スロープや小さな階段を設置し、ジャンプを避ける
  • 食器やトイレの位置を、高い場所への昇り降りが不要な高さ・場所に調整する

これらは特別な費用や手間をかけずに始められる、効果的な負担軽減策です。

2. 体重管理を徹底する

体重が増えるほど、関節にかかる負担は大きくなります。療法食やフードの計量を通じて適正体重を維持することは、投薬治療と同じくらい重要なケアの一つです。おやつの量にも気を配りましょう。

3. 「質の良い運動」を続ける

先ほどお伝えした通り、完全な運動禁止は逆効果です。獣医師と相談しながら、

  • 平坦な道での短時間の散歩を毎日続ける
  • 激しい上下運動やジャンプ、急なダッシュを避ける
  • 症状が強い日は無理せず休ませる

といった形で、筋力を保ちながら関節への負担を最小限にする運動を心がけてください。

4. 痛みのサインを見逃さない

「動きたがらない」「触られるのを嫌がる」「呼吸が荒い」といった様子は、痛みのサインであることがあります。痛みを我慢させたまま過ごさせることは、犬にとって大きなストレスになりますので、変化に気づいたら早めにご相談ください。

病院での治療と組み合わせる

おうちでのケアは、あくまで動物病院での治療と両輪で行うものです。症状や進行度に応じて、

  • 消炎鎮痛剤による痛みのコントロール
  • 関節軟骨の保護を目的とした注射やサプリメント
  • 月1回の注射で対応できる新しいタイプの鎮痛治療
  • リハビリテーション(獣医師の指導のもとでの機能訓練)
  • 重度の場合の外科的治療

など、その子の状態に合わせた選択肢があります。「歳だから」と諦めず、まずは現在の関節の状態を評価することが、今後の生活の質を大きく左右します。

おわりに

変形性関節症は、加齢とともに多くの犬が向き合うことになる病気です。だからこそ、「動かさない」の一辺倒ではなく、痛みの状態を見極めながら、休ませるべき時はしっかり休ませ、動かせる時は質の良い運動を続けるという、バランスの取れたケアが何より大切です。

愛犬の歩き方や仕草にいつもと違う様子を感じたら、どうぞ気軽に当院までご相談ください。